あいうえお題
やっぱりね! (ETU/ジャイアントキリング) ※前中後その後です。 美幸にとってETUのクラブハウスは第二の家のようなもので、メンバーたちは年の離れた兄のような存在だった。 「みゆちゃん、おいで」 監督室を出て父親の元へと向かっていた美幸を呼び止めたのは、談話室から顔を出した丹波だった。 「たんちゃん、なあに」 呼ばれるがままに寄って行くと、そこには石神や世良を初めとして数人が集まっていた。 「みゆちゃん、俺のとこおいで」 世良が呼ぶと、や、と美幸はそっぽを向いて堀田の元へと走った。 「せらはみゆおとすからいや。ほたちゃんがいい」 一度美幸は世良の膝の上にいて、テンションの上がった世良の膝から落っこちそうになったのだ。 「ははっ根に持たれてるぞ世良!」 「あれは不可抗力だってみゆちゃーん!」 石神の言葉に世良は情けない声を出すが、美幸はさっさと堀田の膝の上に座ってしまった。 「今さ、みゆちゃんのお父さんとお母さんの話をしてたわけよ」 「お父さんとお母さんってさ、おうちではどんなふうなの」 美幸は質問の意味が分からないというように小首を傾げた。 「だからね、おうちではちゅーとかするの?」 すると漸く質問の意味が分かったらしく、「いっぱいするよ」と頷いた。 「あのね、おはようとね、おやすみとね、いってきますとね、ただいまとね、あといっぱい」 「いっぱいって?」 「おふろとか、ごはんつくってるときとかもちゅーしてる」 ひゅうと丹波が口笛を鳴らす。 「お熱いねー」 「羨ましいっす!」 「まだ新婚気分抜けてないんじゃないの」 「でも後藤さんって監督が渡英してからずっと待ち続けてたんだろ?その反動が来てるんじゃね?」 すると談話室の扉が開いて後藤が顔を出した。 「すまない、こっちに美幸が…あ、美幸」 「おとうさん」 美幸がすとんと堀田の膝を降りて後藤に駆け寄る。 「遊んでもらってたのか?」 「うんとね、おとうさんとおかあさんがね、いっぱいちゅーしてるよっておはなししてたの」 「なっ」 一気に顔を赤くした後藤に、丹波たちがひひひといやらしい笑みを浮かべる。 「そこんとこ詳しく聞かせてくださいよGM〜」 「そうっすよー監督とラブラブしてるってほんとっすかー」 「ええと、あの、その、い、急いでるから!」 美幸の手を引き、そそくさ、という表現がぴったりの退出に一同は声を上げて笑った。 *** ちゅーばっかしてるらしいよw 指輪をはめて (有里&女達海/ジャイアントキリング) ※前中後の中の後らへんです。 「あ!」 それに真っ先に気付いたのは有里だった。 「達海さん、指輪つけてる!」 ばっと有里に左手を掴まれ、まじまじと見られた。 「これ、後藤さんから?」 「そ。後藤も多分つけてるよ」 左手の薬指で銀色に輝くそれに、有里はいいなあ、と溜息を漏らした。 「何だか羨ましいー」 「お前も早く相手見つけろよ」 すると有里は余計なお世話よ、と舌を出した。 *** ラブラブ「贈り物をする」翌日くらい。 よろしく愛執 (三雲×達海/ジャイアントキリング) 「ミック」 びくりとして達海を見ると、彼は薄い笑みを浮かべて三雲を見ていた。 「…って呼ばれてたね、ジーノに」 微かに楽しげな色が感じ取れて、三雲は視線を逸らす。 「…その呼ばれ方、好きじゃありません」 「そう」 達海はどうして、とは聞かなかった。 恐らく達海も分かっているのだろう、そう呼べば三雲があの時の屈辱を思い出すことを。 「今、嫌な気持ち?」 分かっていてそう聞いてくるその人に、三雲は舌打ちをする。 「趣味悪いですよ」 「そうかな」 「持田さんと良い勝負です」 すると達海は少しだけ嫌そうな顔をした。 だから聞いてやった。 「今、嫌な気持ちですか?」 「…趣味悪いね」 唇の端を歪めて笑う達海に、少しだけ、溜飲が下がった。 *** ミクタツとか需要あるのかこれwww |