あいうえお題

ラインをなぞって
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

※前中後のその後です。


後藤は達海の脚を触るのが好きだ。
その表情は緩みきっていて、やっぱりコイツ脚フェチだよな、と達海は思う。
マッサージもしてくれて、それは気持ちがいいので好きにさせているのだが、たまに蹴り上げてやりたくなるのは秘密だ。
だって。
「あ、こら、ごとう」
脹脛を揉んでいた筈の手がいつの間にか太腿の内側を撫で上げてくる。
どうも後藤には達海の脚を揉むとオンになるスイッチがあるらしい。
女の身体の時はそれもいいと思っているのだが、今日はちょっと宜しくない。
「後藤、俺、今日男なんだけど」
そう、今日の達海は本来の男の身体をしている。
美幸を生んで四ヶ月。セックスの許可が出てから何度も身体を重ねてきたがその全てが女の身体の時だ。
男の体でしたことは、まだない。
しかし後藤はさも不思議そうに達海を見て、「それがどうかしたのか」とのたまった。
しかもその手はシャツの裾から滑り込み、達海のひらぺったい胸を触ってくる。
「触ったってなんもないよ」
「無くはないさ」
かり、と胸の突起を爪弾かれて思わず身体が跳ねる。
「や、ごとう」
「嫌か?」
しゅんとした表情に達海がぐっと応えに詰まっていると、後藤の指の腹が立ち上がった胸の突起を押しつぶす。
「あっ、こら、」
「達海、何で今日はそんなに抵抗するんだ」
「いや、だってさ、女の時はそれが自然だったけど、男の時はなんていうか、その…」
恥ずかしい、なんて口に出来なくて、そもそもお前はさ、と後藤を見上げる。
「男の体の俺を抱きたいと思うの」
「思うさ。何年男のお前を好きだったと思ってるんだ」
後藤が優しい表情で微笑ってキスを落としてくる。
「膨らみが無くたって、こうしてお前に触っていたい」
「んっ…」
頬に後藤の唇の感触を感じながら身を捩る。後藤の指が胸の突起をくりくりと弄ったからだ。
羞恥に目を閉じて顔を逸らすと首筋に後藤の唇が降りていく。
シャツを捲し上げられ、唇がそこに触れると達海の唇からはあえかな声が漏れた。
「…女の時と感じ方は違ってくるのか?」
「わかんない…」
したことねえもん、と返せばそれもそうか、と後藤は苦笑した。
「でもさすがにこっちは違うだろ」
「あっ」
こっち、と下肢を撫でられて達海は恥ずかしそうに身を捩る。
やんわりと揉む手つきにエロごとう、と呟けばお前がそうさせてるんだよ、と責任転嫁された。
「ん、ん…」
するりとスウェットの中に入り込んできた手が直接達海自身を捉えて包み込む。
「声、出せよ」
「だって、あ…ん…」
勃ちあがってきたその先端から溢れる蜜を絡ませ、後藤の手が達海を追い上げていく。
「う、ん…や、だめ…や、だ…」
もう少しで高みに手が届きそう、というところで後藤の手が止まり達海は訝しげに後藤を見上げた。
「…そんなに嫌か?」
「…!」
欲にけぶる瞳の奥にどこか不安そうな色を宿した後藤に、達海は息を呑む。
「…そうじゃなくて…」
「だってお前、さっきから嫌しか言わないじゃないか」
さすがに傷付く。そう言う後藤にそうじゃなくて、ともう一度達海は呟くように言った。
「…は」
「は?」
「は、ずかしいんだよ、バカ…」
すると後藤は目を丸くした後、ふっと蕩けそうな笑みを浮かべた。
「…男の時の方が恥じらいがあるんだな」
かわいい、と目尻に口付けられ、達海はばか、と唇を尖らせた。
「お前、俺が女の時と違って意地悪だ」
さっきだってわざとイキそうな時に止めただろ。
そう文句を言えば、後藤はごめん、と笑う。
「優しくしたいと思ってるんだが、どうも男のお前だと抑えが効かなくてな」
「何でだよ」
「言っただろ?俺が何年男のお前を好きだったと思ってるんだ、って」
爽やかに笑う男に、達海はばーか、と笑ってキスをせがんだ。



***
後藤さんは身体の違いに拘らなさそう。ネタ提供ありがとうございました!





リメンバーイーティーユー
(ジーノ&達海/ジャイアントキリング)

※前中後の前らへん


「タッツミーはたまにとても女性らしい時があるよね」
ジーノがそんな事を言い出したので、達海は無表情の裏側で心臓が飛び出すところだった。
しかし当のジーノはそんな達海に気付いた様子もなくなんでだろうね、と小首を傾げている。
「細いからかな。今はそれほど思わないけれど、たまにそう思うよ」
「こら!ジーノサボるな!」
松原の怒鳴り声にジーノは野暮だなあと肩を竦める。
「じゃあね、タッツミー」
「うわっ?!」
去り際に尻を撫でられ、達海はびくりと身体を硬直させた。
「てめえ吉田!」
怒鳴ってもジーノはははっと笑いながら優雅に手を振るばかりで。
「ちっくしょう、あのイタリア野郎」
俺の尻を撫でた代償は高くつくぜ。
達海はジーノの後姿を睨みつけながらそう息巻いた。



***
何か思ってたのと違う話になった。ネタ提供ありがとうございました!





るんるん気分で
(後藤&達海/ジャイアントキリング)

※前中後村越編その後


猛人を連れて後藤のマンションに着くと、猛人は出迎えた後藤の脚にひしっとしがみ付いた。
「ごとうおじちゃんこんにちは」
「こんにちは、猛人」
後藤は猛人を軽々と抱き上げるとその柔らかな頬に自分の頬を押し付けた。
「猛人はいつも甘い匂いがするなあ」
くすぐったいのかきゃっきゃと喜ぶ猛人に後藤はでれでれしっぱなしだ。
「ごとうおじちゃん、だいすきぃ」
「俺も大好きだぞー猛人」
玄関先で相好を崩しっぱなしの後藤に達海はしらっとした視線を投げかける。
「後藤、おーい後藤」
「ん?何だ達海」
「そいつ、そんなに可愛いか?」
親の贔屓目を抜いても別にそれほど飛びぬけて可愛い容姿というほどでもないと達海は思っているのだが。
しかし後藤の意見は違っているらしい。
「可愛いぞ。見てみろ、このつぶらな瞳、ぷるんとした唇、ぷにぷにのほっぺ」
ふわふわの茶栗の髪やマシュマロみたいなあんよも紅葉のおてても以下略。
「わかった、分かったから黙れ後藤」
延々と続く言葉に思わず達海はストップをかけた。
「猛人は本当に可愛いよなぁ」
「たけと、きゃわいいー」
「ああ、可愛いなー」
可愛いを連呼する後藤に、そいつ、俺と同じ顔してんだけど、と思ったが黙っておくことにした。



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美幸、猛人は達海似、生海は後藤似、幸乃は中間、健・繁は村越似で考えてます。ネタ提供ありがとうございました!





例によって
(後藤&達海/ジャイアントキリング)

※前中後村越編その後


双子の相手をしている後藤になあ、と達海は声をかける。
「お前、よくそいつらの名前間違えないね」
健と繁は顔も髪形も服まで一緒で、見事な一卵性双生児だ。
しかし後藤は笑って、
「お前の子供は間違えないよ」
と言った。
「何その根拠の無い答え」
じゃあそっちにいるのは?と指差せば。
「健。で、こっちが繁」
本当にきっちり区別がついているようだ。
「だから、お前の子供はわかるよ」
妙に自身ありげな後藤に、何でだよと問えばどうしてだろうな、と意味ありげに笑う。
「でもお前だって間違えないだろ」
「そりゃ俺は母親だもん」
「それだけじゃない。こいつらはそれぞれ個性が出てきてるよ」
「見分けつかないって幼稚園の先生にもよく言われるんだけどなあ」
首を傾げて言えば、今はそんなもんだよ、と後藤は言う。
「だけど、一緒に生まれてきても健は健、繁は繁、だよな」
「「なー」」
一緒になって首を傾ける三人に、達海はふうん、と小首を傾げた。
「なんだ、俺が見分けが付いちゃまずいのか?」
「そうじゃないけどさ」
ただ。
すっかりお前も家族の一員って感じだよな、って思っただけだ。なんて。
「…なんでもない」
「何だ、変な奴だなあ」
「そうかもねー」
茂幸が聞いたら怒りそうだから言ってやらないけれど。
そう思いながら達海はにひひっと笑った。



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後藤は村越家に入り浸りすぎだろぉぉぉぉいいいい!!!ネタありがとうございました!!!





ろくでもない男
(持田×達海/ジャイアントキリング)

※「好きを免罪符にして」続編です。


練習を見学するサポーターに混じって一際目を惹く男が現れた。
パーカー姿にサングラスをかけ、腕には赤子を抱き、もう片方の手では三歳前後の少女の手を引いている。
はっきり言って浮いている。
しかし男は全く気に止めた様子もなくグラウンドを見ている。
すると中で指揮を取っていた監督である達海がそちらに気付くとひらりと手を振ってきた。
きゃあ、と女子サポーターが声を上げる中、男は当たり前のようにそれを受け止めて同じ様に手を振り返している。
「ねえ、あそこにいるのって元日本代表の持田じゃない?」
そうこうしている内に周りが男の正体に気付き始めた。
ざわめきが小波のように広がっていく。けれど男は泰然と構えている。
「あの!」
その中で一人の女子サポーターが男に声をかけた。
「元日本代表の持田選手ですか?」
「そうだけど、なに?」
持田の応えに周りが色めき立つ。
「あの、サイン下さい!」
ペンを差し出してきたサポーターに、しかし持田は冷たいまでの声で言い放った。
「なんで?俺もう選手じゃないし」
サービスしてあげる義理なんて無いだろ。
堂々と言い放ったそれに一瞬周りがしんとする。
「あの、でもっ…」
「なーにしてんの」
割って入ったのんびりとした声に周りの視線が集中する。
「ママ!」
少女が持田の手を離れて声の主にしがみ付く。
そこにはいつの間にかグラウンドから出てきた達海がいた。
「猛さん」
途端、纏う空気を柔らかくさせた持田は「もういいの」と笑った。
「うん。今日はもう終わり。あと少し松っちゃんたちと打ち合わせしたら帰れるから」
「じゃあ猛さんの部屋で待ってるし」
「了解。んじゃ行こうか」
うちのバカが迷惑かけてごめんねー。
達海はそう笑って持田たちと連れ添ってクラブハウスの中へと消えていった。



***
ガラの悪い父親だなオイwww

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