あいうえお題

分かりやすくて単純
(後藤&達海/ジャイアントキリング)

※前中後村越編その後


「絶対後藤のせいだ」
やってくるなりそうジト目で言われ、後藤は何がだ、と思わず身を引いた。
「健と繁が勉強そっちのけでサッカーに嵌ったのは後藤のせいだっつってんの」
「周りがサッカー関係者ばかりなんだ。嵌ってもおかしくないだろ」
しかし達海は絶対違う、と言い切る。
「お前とナントカごっこしてからだもん、あいつらがサッカーサッカーうるさくなったの」
ナントカごっこ?
後藤は数秒の間考えた後、ああ、と手を打った。
「ETUごっこか」
「そう!それだ!」
びしっと指を指す達海を尻目に後藤は「可愛かったよなあ、アレ」とでれっとしている。
「写真あるぞ。見るか?」
「見ない!もう飽きるほど見せられたし!」
達海の定番勝負服やETUジャージ、ユニフォームを着た双子の写真は今も村越家と後藤の双方のアルバムに納まっている。
「アレ以来あの双子ども口を開けばサッカーサッカー!」
「何か問題があるのか?」
小首を傾げて問う後藤に、達海は二人の通知表を突き出した。
受け取ったそれを見た後藤は、思わず「あー」と間の抜けた声と共に苦笑した。
「これはまた、見事だな」
「見事じゃなくて無残って言うの。面談では先生に夏休みは勉強させてくださいって言われるしさ」
唇を尖らせる達海に、後藤は声を上げて笑う。
「じゃあ、俺にも責任があるみたいだからこの夏休みは二人の勉強を見るよ」
でもさ、達海。後藤は柔らかい笑みで達海を見る。
「俺は、お前の子供がサッカーしてくれて本当に嬉しいんだ」
その優しい笑みに、達海は僅かに目を丸くした後「だからって甘やかすなよ」とそっぽを向いた。



***
なんかもう最近達海が愛されてればそれでいいや的な。あ、前からだ。ネタ提供ありがとうございました!!





んっとね、好きだよ
(村越×達海/ジャイアントキリング)

「なに溜息吐いちゃってんの?」
報告に訪れた村越を待っていたのは達海のそんな言葉だった。
「は?」
「さっき。何か俺見て溜息吐いてただろ」
見られていたのか、と思う。
それと同時にいい機会だとも思った。
「…後藤さんにはあんな顔、見せるんだなアンタ」
「…あんな顔ってどんな顔」
「誉められた子供みたいに笑ってた」
すると達海はちょっとだけ鼻白んだ表情をした。どうやら自覚は無いらしい。
「…まさか、それで拗ねてたのか、お前」
「……」
図星を指されて黙り込むと、ばかだなぁ、と達海は笑った。
「アイツは親友だもん。そういう事もあるさ。だけどお前は違うだろ」
ちょいちょい、と指でコッチへ来い、と示されて素直に従えば、ぐいっと襟首を引っ張られてキスをされた。
「こういうことすんのは、お前だけだって」
これ以上言わせるの?と笑う達海に、それ以上を言わせたい、と返せば彼の笑みは一層深まって。
「村越、耳貸して」
耳を寄せた先で、ぼしょりと囁かれたのは。



***
久しぶりに普通のコシタツ書いた気がする。ベタ「浮気と誤解する」その後。

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