あいうえお題

あったかもしれない未来
(達海/ジャイアントキリング)

※前中後村越編


おかしな夢をみたんだ。
目が覚めたら目の前に俺がいて、お前誰、とか言ってんの。
パニくった頭で二人で考えたわけ。何でこんな事になってんのって。
でもそんなのわかんなくて、仕方ないから話をして。
そうしたらさ、もう一人の俺はお前を選んでたんだ。
村越じゃなくて、お前を選んでた。
そういう未来も、あったのかもしれないなってちょっと思った。
…違うか。
そういう未来も、あってもいいなって、ちょっと思ったんだ。
おっと勘違いするなよ。
俺は村越を選んだことを後悔していないし、お前の事は親友だと思ってる。
それ以上の感情は悪いけど持ち合わせていない。
けどさ。
もう一人の俺が言うんだ。幸せだって。
お前と一緒になれて幸せだって。
だから、そんな未来もあってもいいなって。
ちょっとだけ、思ったんだ。



***
ベタ「子供を預かる(迷子でも)」その後。





居た堪れないくらい愛してる
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

ある日、達海と後藤の精神が入れ替わった。
最初こそパニックを起こしたが、すぐに落ち着いてしまった達海を見ていたら後藤も落ち着く事が出来た。
だって、自分じゃどうしようもないじゃん。
達海の言い分は最もで、明日になっても戻らなければ何かしら手を打とうという事になった。
そんな中、腹を空かせた達海のために買出しに出かけた後藤は車の中で深い溜息を吐いた。
慣れない身体での運転は多少ひやりとするものがあったが、何とかなった。
ただ、脚の違和感だけは後藤の気持ちを落ち込ませた。
普段達海は何でもない顔をしているが、これは慣れれば何とかなるというレベルではない気がする。
今は違和感としてしか感じないが、痛むときもあるだろう、不自由を感じるときもあるだろう。
そう思うと居た堪れない。
「達海…」
そう呟いてぎょっとする。
そうだった、今はその達海の身体なのだから声も達海の声なのだ。
マンションの駐車場に車を止め、後藤はシートに身を沈める。
「…達海」
達海の声で達海の名前を呼ぶなんて、妙な感じだ。
それよりももっと。
「…後藤」
そうだ、もっとこう、甘えたように。
「……ごとう」
達海の少し舌ったらずな声が耳を擽る。
「ごとう、ごとう…後藤、俺も好きだよ」
背筋がゾクゾクするほどの歓喜、それと同時に虚しいまでの可笑しさに思わず失笑する。
「…はっ…ばかばかしい…」
そんな事、達海が言うはず無いのに。
「…本当に、バカだ…」
込み上げてくるものを抑えようと、後藤はきつく目を閉じた。



***
後藤がやるときもちわるい。(真顔)ベタ「中身が入れ替わる」後藤視点。





うんと激しく抱いて
(平泉×達海/ジャイアントキリング)

「あっ、はぁっ…」
達海は騎乗位が好きだ。
欲に耐える相手を見下ろして腰を動かすのがキモチイイのだと言っていた。
「平泉さ、きもちい、い?」
ずりゅずりゅと音を立てながら腰を振る達海を引き寄せて唇を奪う。
「ぁんむ、ふ、んんっ」
舌を絡めて貪りながらも貪欲に腰を揺らめかせる達海の腰を掴んで一層深く突き上げた。
「ひゃふ、あ、あんっ」
だらだらと透明な液を垂らす性器を握ってやれば達海は声を上げて悦ぶ。
ここがいいのかね、と内壁を抉ってやればいい、そこがいい、と何度も繰り返して言った。
平泉さん、平泉さんと繰り返す声に煽られて突き上げると達海が甲高い声で鳴いた。
「ひらいずみさ、も、おれいっちゃ、あ、あっ」
「いきなさい」
「あ、あっ、あああっ」
達海の内壁がきゅううっと収縮し、白濁とした精液が平泉の腹を汚した。
「あ、あ…」
平泉が中で達する感覚に達海はぶるぶると震えてそれを受け止める。
「は、あ…中で出されちゃった。…俺が女だったら平泉さんの子供、デキちゃうね」
「お前が男なのが残念だよ、達海」
そんな応えが来るとは思わなかったのか、達海はきょとんとした後、少しだけ照れたように顔を背けた。
「…平泉さん、それ反則」



***
平泉さんはいつまで現役なのか。(何の話だ)





ええ、惚れてますから
(杉江×達海/ジャイアントキリング)

「スギ、それどうしたんだよ」
黒田が指摘したそれ、とは鞄からはみ出た幾つもの小さなテディベア。
「ああ、これ。車の鍵」
テディベアの一つを掴んで持ち上げれば、確かにその先には車のキィがぶら下がっている。
が。
「なんていうか、目的が変わってないか」
テディベアの数は数えてみた所、四体もあり一体一体が小さくともコレだけ集まるとさすがに嵩張っている。
最近の女子が持つ携帯電話のストラップによくある、どっちが本体だ、みたいな状態だ。
「お前にこんな趣味があったとはな」
「これ、三体は達海さんがくれたんだよ」
にやにやしていた黒田が思わぬ名前にはあ?と素っ頓狂な声を上げた。
「あの達海がか?」
「そう。何か俺がこういう小物持ってるのを見るのが好きらしい」
「何だそりゃ」
「ギャップ萌え、って言ってた」
「はーん?」
アイツの考えることはわかんねえな。
黒田の言葉に杉江は微笑った。
「あの人がこれで喜んでくれるなら、それでいいさ」



***
「生意気な君へ5のお題」の「可愛いところもあるんだな」その後。





お疲れ御免
(持田×達海/ジャイアントキリング)

かくん、と突然達海がバランスを崩したので持田は咄嗟にその身体を支えていた。
「お、とと」
「大丈夫すか」
何かに躓いたのだろうか、と思いながら声をかけると、ごめん、と謝られた。
「脚がちょっと限界、かも」
途端、突然達海がバランスを崩した原因を理解した。
痛むのだ、脚が。
さあ、と血の気が引くのが分かる。
達海の事となると持田は王でも何でもないただの男だ。
「すみません!俺が歩かせたから…!」
「いいよ、分かってて何も言わなかった俺が悪いんだし」
そう笑う達海に、車を取ってくると言えば引き止められた。
「それくらいなら歩けるから」
「でも、」
ねえモッチー。達海が笑う。
「こんな所に俺を一人にする気?」
その少しだけ寂しそうな微笑みに、持田はとんでもない、と首を横に振った。



***
野獣五題「雄々しき視線」ちょっと前。

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