あいうえお題

過去のひとを想う
(夏木←ジーノ→達海/ジャイアントキリング)

※ナツ←ジノを過去に踏まえてのジノ→タツです。

心から愛した人がいた。
見た目も悪くて頭もバカで声も五月蝿い、どうしようもない男だったけれど。
それでも愛した人だった。
彼は順当に女性と恋愛をして、結婚をした。
当然だと思った。
彼はそうあるべきだったし、自分もそれを願っていた。
ただ、結婚式で幸せそうに笑う二人を見ていたら。
幸せになってほしいと思う反面、妬ましかった。
何一つ不自由したことがないだろうと人は言うけれど。
自由になることなんてほんの一握りの事で。
本当に欲しかったものは、手に入らなかった、なんて。
お決まりの展開に思わず笑ってしまう。
だけどね、タッツミー。
彼との出会いが君と出会うために必要なものなのだったとしたのなら。
それならば、この胸の痛みも甘んじて受けようという気持ちになるんだ。
失恋の痛みを新しい恋で癒すなんて。
それすらも、型にはまった展開に思えるけれど。
ねえ、タッツミー。
僕と新しい恋を、始めてみませんか?



***
11/10がナツジノの日だと気付いて慌てて書いた。でも11/10にうpするわけでもない。意味がない。





今日も明日も明後日も
(ジーノ→達海/ジャイアントキリング)

※ナツ←ジノを過去に踏まえてのジノ→タツです。

タッツミーとナッツが何か話している。
タッツミーは結構ナッツを鬱陶しがっているようだけれど、ナッツはよくタッツミーに話しかけている気がする。
多分、放っておけないんだろうね。ナッツの性格からして。
「だから!それじゃダメなんスって!」
ああもう、五月蝿いなナッツ。
そもそも君がタッツミーに駄目出しするなんて随分大きく出たものだね。
何の会話かと思って少し耳を欹ててみると。
なんて事ない。タッツミーの悲惨な食生活の事だった。
なんだ、そんなこと。
「話し中にいいかい、タッツミー」
「ん、どうでもいい話だったから全然大丈夫」
「酷いッス監督!俺は監督を心配して!」
「ナッツ、五月蝿いよ」
悔しそうにしながらもぴたりと口を噤むナッツに、少しだけ愛しさを感じて。
だけど悪いね。
「ねえ、タッツミー。今日は僕と一緒にディナーを食べないかい」
タッツミーの食生活の改善は、僕の役目だよ。



***
王子って意外と口調が分からない。





繰り返し呼んで
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

※前中後のその後です。


「恒生」
「何だ?」
「こうせい」
「…何だ?」
「こーうせい」
「…だから何なんだ」
「ん、馴れておこうかなって思って」
「…そうか」
「恒生」
「……」
「こうせい」
「……」
「こーうーせーい」
「…なあ、達海」
「うん、何?」
「…その、なんていうか、くすぐったいんだが」
「俺なんにもしてないけど?」
「だから、気持ち的にっていうか…」
「……」
「……」
「恒生のすけべー」
「…何でそうなるんだ」



***
とんだ会話文だ!!あ、もっと酷いの書いた事あったわwwあいうえお題「変わるもの変わらないもの」その後。





決して寂しくない
(??/ジャイアントキリング)

※前中後その後です。達海も後藤も死んでます。


わたる、と祖父に優しく呼ばれるのが好きだった。
ひょろりと高い背に、優しい笑顔。
遊びに行くといつもお菓子をくれた。
従兄の達也にサッカーを教えてもらった、と言うととても嬉しそうな顔をした祖父。
けれどその祖父は死んでしまった。八十二歳だった。
亘、亘と可愛がってくれた祖父はもういない。
悲しかった。悲しかった、けれど。
よかったね、と思った。
祖父はよく先立った祖母の話をしてくれた。
祖母は亘が生まれるより早く死んでしまったけれど、祖父が祖母の事を本当に好きだったのだという事は幼心に分かった。
祖母が亡くなってから丁度十年、祖父は生きた。
十年。それはとても長い時間だと亘にも分かった。
だって亘から十年を奪ってしまえば、亘はまだこの世に生まれてきてもいない。
そんなに長い間を祖父はずっと祖母を想って生きてきたのだろう。
だいじょうぶだよ。通夜で拳を握り締めて泣くのを堪えている父親の手をそっと握って亘は言った。
「おじいちゃんはおばあちゃんのところへいったんだよ。だからさびしくないよ」
父親を安心させたくて言った言葉は、どうしてか父親を泣かせる結果になってしまった。



***
亘は生海の息子です。はい、孫二人目出現ー。(視線逸らしつつ)





幸福の輪
(村越&??ジャイアントキリング)

※前中後その後です。


「ねえ、村越おじさん。子供の名前なんだけど、旦那と二人で考えた結果、二つに絞り込んだの」
達也と茂人、どっちがいいと思う?
提示された二つの名前に、村越は即決で「達也」と答えていた。
「えー、せっかくなんだから自分の名前入ってるほう選べばいいのに」
大きなお腹を擦りながら言う美幸に、別に良いだろう、と村越は苦笑する。
「自分の名前より、あの人の名が受け継がれていく方が俺は嬉しい」
すると美幸は目を丸くしてきょとんとした後、ぷっと吹き出して笑った。
「ほんと、村越おじさんはお母さんの事が好きなのね」
「…もう、嫌いになる理由がないからな」
好きだとか嫌いだとか、もうそんな感情は越えてしまった気がする。
ここまで来るのにたくさんの感情を乗り越えてきた。
その結果が今こうしている事ならば。
「お前たちが幸せであれば良いと思うよ」
すると美幸はばかね、と笑った。
「何を他人事のように言ってるの。おじさんも『お前たち』の一員でしょう?」
美幸の言葉に村越は微かに目を見張り、そうだったな、と微笑った。



***
美幸21、2歳。村越55歳くらい。改めて数字にしてみると笑えて来るwwww

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