あいうえお題

愛は哀し
(成田→達海←後藤/ジャイアントキリング)

※死にネタです。苦手な人は回れ右。


達海は覆いかぶさる後藤の手を取ると、自らの喉元に導いた。
「止めてよ、後藤」
「たつ、み?」
「俺の事、アイシテルなら、止めて」
達海はこれからも成田の元へ行くだろう。
それはもう止める事が出来ない。
後藤を好きだと思うのと同じ様に成田の事も愛しいと思ってしまう。
だから乞われれば拒めないし、拒むつもりも無い。
後藤がそれを許せないというのなら。
「止めてよ、後藤の手で」
それまで動揺に揺らいでいた後藤の瞳がすうっと凪いでいく。
ぐっと喉元に力を籠められた。
「それしか、方法は無いのか」
「……」
哀しげに笑う達海の表情に、後藤もまたきゅっと眉を顰めた。
徐々に強まっていく力。達海の細い首に食い込んでいく指。
達海の顔が苦しげに歪む。空気を求めて唇が何度か開かれた。
「達海、達海……」
ぼろぼろと後藤の瞳からは大粒の涙が零れ落ち、達海の頬を打った。
達海の瞳が薄らと開かれる。
達海が、笑った。
「……たつっ……」
それを最後に、達海は苦しむ事も笑うこともしなくなった。
するり、ぱたん。
後藤の手首を掴んでいた達海の手が音を立ててベッドの上に落ちる。
その音で漸く後藤は達海の首から手を放した。
涙はもう、止まっていた。



***
急・展・開☆(……)「勿忘草を求めて」続編。もう意味わかんない。





いとし、とただひとこと
(×達海/ジャイアントキリング)

※死にネタです。ご注意。


何処へ行こうか。
後藤は助手席で眠る達海に声をかけた。
お前は人込みは嫌いだから、どこか静かな所がいいな。
二人でゆっくり出来るところへ行こうか。
温泉なんていいな。秘境の温泉めぐり、なんてさ。
ああでもお前風呂とか執着無いからなあ。シャワーで平気なヤツだし。
美味いモンとかも興味ないだろ。
なあ、お前、何が好きだったんだ?
サッカー以外で、お前を生かすものは、何だったんだ。
俺にはそれがわからない。
それが分かっていたら、もしかしたら。
「なあ、達海」
後藤は車を走らせながら傍らの達海に喋り続ける。
俺じゃ、ダメだったのか。
俺じゃ、お前が終わるための理由にしかなれなかったのか。
「なあ、達海、達海……」
後藤は震える声で何度も達海を呼んだ。
目の前がぼやけて見難い。
ぼろぼろとあふれ出した涙をそのままに、後藤はハンドルを切った。
「俺の愛は、間違っていたのか?」
今はもう、答えはなく。



***
リナリアを書いたころはまさか死にネタになるとは思わんかったwww「愛は哀し」続編。多分これで終わり。(え)






うん、やっぱり親子だ
(??&達海/ジャイアントキリング)

※前中後その後です。


「お前さ、村越の何処が良かったの」
「えー?」
達海と美幸はおやつのポテトチップスを摘みながらだらだらと言葉を交わす。
「なんていうか、村越おじさんって幸薄そうな顔してるじゃん」
「ぶっ。うん、まあ。で?」
「そこが母性本能を擽るというか。守ってあげなきゃって気になるんだよねー」
あ、零れた。カスをぱたぱたと叩きながら美幸は言葉を続けた。
「なんだろ、そうだ、可愛いってかんじ。うさぎでも見てるみたいな気分になるんだよね」
「それって恋愛感情と違うことないか」
「そうなんだけどさー。あの頃は若かったからそういう区別って付かないもんじゃん」
あ、これ良くない?美幸はテーブルの上に広げたカタログの一点を指差して言う。
「好きって気持ちにはいろんな種類があるって、あの頃漸く気付き始めたのよね」
え、俺こっちがいい。達海がぱりぱりとポテトチップスを齧りながらまた違う一点を指した。
「あー。大人の階段上っちゃったのね、シンデレラは」
「何よそれー」
あはは、と笑いながら美幸がページを捲る。
次々と現れるウエディングドレスを眺めながら、二人は他愛も無い話をいつまでも続けた。



***
美幸の旦那は十歳ほど年上です。うん、まあ誰かはそれで察して。今後はっきりと出す予定は無いけど。(爆)





笑顔が好きなんだ
(三雲×達海/ジャイアントキリング)

「怒って、ますか」
三雲が隣を歩く達海を窺うと、「なにが」と返される。
「モチさんに、何も言い返せなかったこと」
すると達海はんーと唸り、「そこまで期待してない」とあっさりと切り捨てた。
「内部で持田に逆らえる人、あんまいないって聞いてるし」
「どんな噂流れてんですか……」
「持田は王様って話」
ちなみに俺はETUの王様。にかっと笑う人に三雲はほっとする。本当に怒ってはいないようだ。
「じゃあ、呆れてますか」
「なんで?いいよ別に」
だって、と達海は少し前を行き、身体ごと三雲を振り返った。
「三雲のそういう所も、可愛いと思うもん」
ね?と首を傾げる人の方がよほど可愛らしい。
そう思いながらも三雲は耳が熱くなるのを止められなかった。



***
青春してんじゃねえよwww「はい、ありえないから」続編。





同じだけの温もり
(持田×達海/ジャイアントキリング)

冬は苦手だ。
関節は痛むし手は悴むし、寒い。寒いのだ。
痛みは我慢しよう。
手の震えも我慢しよう。
だが寒いのだけは我慢が出来ない。
帰宅と同時に部屋の主が寒いと文句を言って暖房をつける傍らで達海はソファ下に座って小さくなる。
毛足の長いラグが少しでも温もりをくれないかと達磨が転がるように横になってみるがやっぱり寒いだけだった。
「達海さん、ちょっと起きて」
「少しでも動いたら身体の熱が逃げる」
いいから、と急かされ達海は仕方なく起き上がった。ああ寒い。
すると持田が自分の羽織っていたジャケットを達海にかけ、その上から抱きしめてきた。
「ちょっとは暖かい?」
「お前が寒いだろ、これじゃ」
「いいよ、暖房つけたし」
こうしてれば俺も暖かいし。
「そう?」
「そう」
じゃあ、と達海が持田の冷えた手を包み込んだ。
「モッチーの手を温めるのは俺の役目ね」



***
うちの持田は座る達海を後ろから抱きしめるというのが好きらしい。(単にお前の引き出しが少ないだけです)

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