雰囲気的な10の御題:結
01.ゆびきりげんまん (後藤×達海/ジャイアントキリング) 約束だ、と小指を絡めた。 お前が何処にいても、俺はお前を想っているよ。 空港の片隅で、後藤は言った。 それが照れくさくて、けれど嬉しくて。 絡めた小指を離せないまま俯くしかできなくて。 恥ずかしいヤツ、と呟くのが精一杯だった。 あれからずっと、俺の小指には後藤の小指が絡んでいる。 どれだけ振りほどこうとしても、その感触を消そうとしても消えやしない。 時折きゅっと力を入れられて驚いたりして。 なあ、後藤。 俺はまだこの国では日常会話すら碌に出来ないレベルだけれど。 何とかやっていけそうだ。 お前の小指が俺の小指にある限り。 俺はまだ、進めるよ。 *** 現役引退直後くらい。ある意味赤い糸。 02.シルエット (持田×達海/ジャイアントキリング) 「好きです。付き合ってください」 今時中学生でももう少し気の利いた言い方できるだろうと思いながらも手を差し出すと、彼はあっさりと持田の手を取った。 「いいよ」 思わずぽかんとその顔を見つめてしまった持田に、達海は空いた方の手で自分の襟足を撫でる。 「俺、モッチーの事好きだし、いいよ」 「あの、キスとかその先とかしたいと思ってるんですけど」 そういうスキだって分かってます? 「あーうん、それもいいかなって思ってる。モッチーはさ、俺を抱きたいの?」 はい、と即答したら若いねぇ、と笑われた。 「じゃあ、それでいいからその時は優しくしてね?」 「は、はい!」 「じゃあ、」 達海にぐいっと腕を引かれて持田はバランスを崩す。 「っ」 と同時に唇に感じた柔らかな感触。 目の前には、達海の顔。 「ヨロシク、モッチー」 にかっと笑う姿に、ああ、この人はこういう笑い方もするのかと思う。 持田は笑って顔を寄せる。 「こちらこそ、お願いします。達海さん」 そうして二つの影は、再び重なった。 *** モチタツは好きだけど、書くのは難しいなあ。 03.もう一度 (村越×達海/ジャイアントキリング) もう一度あの人とプレイできる日が来るとは思わなかった。 あの人はもう選手ではなくなってしまったけれど、同じ芝に立つ者としてそこに存在している。 俺達を導く立場となって、彼は舞い戻ってきた。 その変わらぬ態度を随分と憎んだし、怒りをぶつけもした。 それでも彼は俺の言葉を、そして思いを受け止め、共に歩くことを選んだ。 隣に立つその飄々とした態度に今でも苛立つことはある。 けれど、そんな彼の横顔をもっと見ていたいと思うことがある。 その強い意志を湛えた瞳で見据えられることがどれほど辛く、そして快感であるか。 あの人は知っているのだろう。 あの人と二人で、最後まで駆け抜けたい。 そう願ってしまう俺を、あの人はきっと知っている。 知っているからこそ、俺の隣に立っている。 逃がすつもりなど無いのだと、見せ付けるように。 けれどもう、それでいい。 それでいいのだ。 逃れるつもりなど、初めから無いのだから。 *** 一蓮托生。 04.蝶々結び (後藤×達海/ジャイアントキリング) 達海が突如何か思いついたように声を上げた。 「あっ」 「達海?」 「今日はゴトーの日だ」 ぴっと後藤を指差して言う達海に、後藤は訝しげな声を上げる。 「は?」 「だから、五月十日。ゴトーの日。な?」 語呂合わせになるほど、と思うと同時にそれがどうしたとも思う。 「よし、じゃあ達海さんがプレゼントを差し上げよう」 言うやいなや達海の手が後藤のネクタイに掛かり、しゅるりと引き抜きにかかる。 「お、おい、達海?」 「いいからいいから」 何が良いのかわからないまま達海を見ていると、達海は引き抜いたネクタイを自分の首に巻きつけた。 「じゃん」 出来上がったのは、ネクタイの蝶々結び。 「俺から後藤へ、俺のプレゼント」 返品は不可です。 生物ですので今日中にお召し上がり下さい。 「どう?気に入った?」 *** 勿論お持ち帰りされました。(爆) 05.何度目かの冬 (後藤×達海/ジャイアントキリング) お前が何処にいても、俺はお前を想っているよ。 そう言って小指を絡めた俺に、お前は照れくさそうに俯いていた。 恥ずかしいヤツ、と呟くその声にはどこか嬉しそうな色を感じた。 本当は抱きしめたかったけれど、目立つので止めた。 その代わりに、きゅっと小指に力を入れた。 小指で小指を抱きしめるように。 あれからずっと、俺の小指には達海の小指が絡んでいる。 あの感触を忘れないように、時折俺は小指に力を入れる。 あの時、達海の小指を抱きしめたように。 なあ、達海。 お前の行方は全く知れないけれど。 元気でやってるって信じてるよ。 お前の小指が俺の小指にある限り。 俺はずっと、お前を信じているよ。 *** ゆびきりげんまんの後藤視点です。指きりでも目立つよゴトさん。(爆) |