雰囲気的な10の御題:清

01.未完成の未来
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

「もし俺がまたイングランドに戻りたいって言ったらどうする?」
ぽそりとそう呟くように言えば、後藤は目を丸くしてまじまじと達海を見た。
「…行かないだろう?お前は」
何処か確信を得ているような口調にむっとして、達海は後藤を見る。
「……もしもの話だよ」
すると後藤は「そうだなぁ」と小首を傾げた。
「お前が行きたいなら俺は止めないよ」
ただし、と後藤は優しく笑う。
「その時は俺も付いて行くさ」
「…えー?」
「なんだよ、不満か?」
別に不満じゃないけど、と小さく呟けば後藤の笑みが一層深くなる。
「珍しいな。お前が仮定の話をするなんて」
「…仮定じゃなくなれば良いじゃん」
「…達海…」
今度は迎える側と迎えられる側じゃなく。
いつか二人で、あの街を歩こう。



***
微妙にしんみりしてしまった…。





02.求める形の
(成田×達海/ジャイアントキリング)

成さんが一番好き、と達海は笑う。
成さんと一緒に居るのが一番楽しい。
成さんの傍に居るのが一番安らぐ。
そう言って達海は猫のように身を寄せてくる。
けれどその言葉の裏に秘められたものを成田は知っている。

本当はアイツの代わりなんだろう?

そう口をついて出そうになる。
成田は態の良い身代わり人形だった。
達海自身はそれに気付いているのだろうか。
成田に違う男の面影を重ねていることに。
気付いてやしないだろう、あの男は。
成さんが好き、成さんが好き、と微笑うあの男は。
その言葉と同じだけ、あの男の名前を呼んでいることに気付きもしない。
しかしそれを口にしてしまったら、達海はもう成田には擦り寄ってこないだろう。
だから成田はそれを教えてなどやらない。
彼が自らにかけた暗示が、いつか真実になってしまえば良いと。
そう、願っている。



***
ノンケ後藤←達海←成田かと思われる。ナリタツだと何故か暗くなる罠ww




03.夏の終わり
(持田×達海/ジャイアントキリング)

モッチー、花火買ってきた、と達海さんが笑った。
花火をするには少し時期が遅いのではないかと思ったけれど、達海さんが楽しそうにしているので言うのは止めた。
どんな花火かと思えば線香花火で。
もっと派手なの無いの?と聞くと、ベランダでそんなの出来ないだろ、と返された。
俺んちのベランダでやる気らしい。まあいいけど。
バケツなんてないから使ってないグラスに水を張って。
ライターで先端に火を着けるとしゅわわっと音がして燃え上がった。
ぱち、ぱちち…
火花の弾ける音を聞きながら達海さんを見ると、淡い光に照らされた達海さんの横顔がそこにあった。
線香花火なんかより余程儚げな横顔に、俺は悟った。
ああ、夏は終わったのだと。



***
雰囲気小話。あ、いつもの事か。(爆)orz





04.まっさらな道で
(村越×達海/ジャイアントキリング)

男に慣れていると思っていた。
余りにも淫靡に誘ってくるものだから、彼にとってこれは遊びの一環なのだと。
けれど、碌に慣らさず押し入ったそこは余りにもきつく、狭く。
「アンタ…初めてなのか」
思わずそう問うと、ぽかりと力ない手で叩かれた。
「…っばかやろ…初めてに決まってんだろ…!」
涙目で睨みあげてくる姿にずくりと下肢が疼く。
この体は村越以外を知らない。
奇跡のようにまっさらな体を抱いているのだと思った途端、体の芯が熱くなった。
「ちょ…バカお前、何デカくして…あぁっ」
軽く腰を揺らすだけで跳ねる身体。
「…すまん」
辛いのだろう、涙の滲んだ目尻に口付けて村越は腰を引こうとする。
「ぁ…だめっ…」
しかしそれは達海が腰に脚を絡めてきて防がれてしまう。
「い、から…今止められるほ、が…辛い…」
「だが…」
「…壊していいから…」
荒い息を零しながら、それでも挑発的に見上げてくる瞳に村越は達海の足を抱え直した。
「…その言葉、後悔するなよ」
もう遠慮など、必要なかった。



***
オチ?ないよそんなの。(真顔)





05.誰も知らない
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

後藤が何を思って達海の傍らに在るかなんて、達海は知らない。
知ろうともしない。
ただ甘えたい時に甘えてきて、寄り添いたい時に寄り添ってきて。
また他の誰かの元へと行ってしまう。
達海にとって後藤は単なる都合のいい休憩所だ。
けれどそれを咎めることはしなかった。
出来るはずもなかった。
誰と寝ても、達海は必ず後藤の元へ帰ってくるからだ。
そしてまた後藤に甘え、眠りに就く。
俺、後藤だけは信じてるんだ。
その言葉に、笑顔に、どれほどの呪縛の力があるか知りもせず。
達海は後藤の元へ帰ってくる。
なあ、達海。
後藤はベッドで眠る達海の髪を撫でながら問いかける。
お前本当は、知ってるんじゃないのか?
俺がお前を愛してるって。
他の誰よりお前を抱きしめたいと思っているって。
「なあ、達海…」
答えは、返らない。



***
在09のその後みたいな。

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