雰囲気的な10の御題:清

06.うそとほんとう
(持田×達海/ジャイアントキリング)

「ねえ達海さん、俺を選んだのって、俺が東京V所属で日本代表だから?」
「…ナニソレ。どったのモッチー」
誰かに何か言われた?と小首を傾げれば、持田は肯定するように唇を尖らせた。
「…シロさんが、達海さんは昔も東京Vの日本代表と付き合ってたって」
「…あー成さんの事?」
「ナニさんか知らないけど、その人」
仮にも大先輩なんだから知っておいてあげてよ名前くらい。
そう思ったが今成田を庇うような言動はよくないと達海にだって分かる。
「あのねモッチー、確かに俺は成さんとちょっとだけそういう関係になった事があった。でも続かなかった」
何でか分かる?と問えば、知りませんよそんなの、と拗ねた声が返ってくる。
「あのね、俺が成さんをチームメイト以上に思えなかったの」
合宿の間だけの、熱病のような関係だった。
成田も分かっていたのだろう。達海が自分の腕の仲に収まっていられるのは今だけだと。
だから、熱が醒めればお互い正気に返ったように日常に戻っていった。
「で、それを踏まえて問題です」
ぱちん、と仕切りなおすように手を叩けば持田が訝しげに見てくる。
「そんな俺が持田君とは半年続いています。さてこれはどういうことでしょう」
「…身体の相性?」
数秒の後に提示された答えに、達海は「ブッブー」と両腕を大きく交差させた。
「正解は、俺が持田君の事を好きだからです。これ基本問題ね」
持田は暫くの間ぽかんとしていたが、やがて「ハッハハハッ」とおかしな笑い方をした。
「マジで?」
「マジで」
「達海さんちょーウケるんですけど」
「そう?」
持田は笑ったまま言う。
「それ、俺信じるからね。嘘だったら殺すよ」
その言葉に達海は上等、と笑い返す。
「死ぬまで愛してやんよ」



***
ナリタツ前提のモチタツも萌える!





07.青く晴れた日
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

青、何処までも広がる青。
その日の空は雲ひとつ無い晴天だった。
達海が屋上へ上がって寝そべっているとぎしりと梯子が軋む音がした。
きっと後藤だ、と思いながらも視線は空を見上げたまま。
「達海」
聞こえて来たのはやはり後藤の声で。
「何」
視線だけ動かしてそちらを見ると、後藤が屋上へ上がってくる所だった。
「やっぱりここに居たな」
「今日は天気良いからね」
見ろよ、と空を指差す。
そのままその青に吸い込まれていきそうだ。
後藤にも伝わったのだろう、そうだな、と応えが返ってくる。
「このまま遠くへ行ってしまえそうだ」
行ってみる?と問えば、そうだな、と後藤が微笑った。
「お前と一緒なら、何処へでも」



***
青空は逆にアンニュイな気分になる。





08.檸檬水(レモネード)
(黒田×達海/ジャイアントキリング)

「クロ、これ飲んで」
差し出されたのは、レモネードのペットボトル。
「てめえで飲め」
つっけんどんに返すと「えー」と不満げな声が返ってくる。
「だってこれ酸っぱいもん」
「じゃあ何で買ったんだよ!」
「買ったんじゃないよ、有里がくれたんだよ。たまにはドクペ以外も飲めって」
余計なお世話だっつーの、とぼやく姿は三十五歳にはとても見えなくて。
「〜〜仕方ねえな!」
乱暴にそれを奪い取ると、達海がにひっと笑った。
「ありがと、クロ」
「けっ」
その笑顔に、勝てない。



***
かっぷりんぐようそがないよママン…(´д`)





09.歌声のあとに
(羽田×達海/ジャイアントキリング)

先ほどから達海は何やら考え込んでいる。
「どうした」
腕を組み、折れるんじゃないかというくらい首を傾げた達海はうーんと唸った。
「羽田、なあ羽田」
「何だよ」
「〜〜〜♪っていう歌、何てタイトルだっけ」
「―――だろ」
「あ、そうそう、それそれ」
すっきりした、と達海はその歌を口ずさみながら読みかけだった雑誌を捲る。
何度もキスをせがむその歌詞に、羽田は思わず達海の頬に手を掛けた。
「何?は…」
た。の声は唇と唇に挟まれて消えた。
「…どしたの。羽田からしてくれるなんて」
「…してほしかったんだろ」
すると達海はきょとんと目を丸くした後、悪戯っ子のように笑った。
「わかった?」
「アンタにしては回りくどいやり方だな」
「偶には良いだろ」
再び寄せられた唇は、笑みの形を象っていた。



***
羽田の職業が気になります。





10.よい夢を。
(後藤×達海/ジャイアントキリング)

達海は眠る時、身を縮こまらせて眠る。
まるで何かから身を守るようなその寝姿。
動物のようなそれに後藤はいつも苦笑しながらその隣に身を滑り込ませる。
「……」
途端、もぞりと頭を擡げるその姿は本当に動物のようだった。
「起きてたのか」
情事の後、大抵達海は後始末を終えるとすぐに寝入ってしまう。
今も相当眠いのだろう、ぼんやりとした視線が後藤を見上げている。
「ごとう、足冷たい…」
「ああ、悪い、スリッパ履かなかったんだ」
足音が達海の眠りを妨げると思って履かなかったのだが、今度はその足の冷たさが妨げとなってしまったらしい。
「ん…気持ち良いからいい…」
すり、と足先に達海の暖かな爪先がすり寄せられる。
その仕草に微笑んで達海の隣に横になると、今度は足だけでは無く体ごと擦り寄ってくる。
「おやすみ、達海」
その柔らかな髪に口付けると、ん、と短い応えが返って来て後藤も目を閉じた。
ああ、今日もよい夢が見られそうだ。



***
きっと夢の中でもバカップル。

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