雰囲気的な10の御題:静
01.影踏み (後藤×達海/ジャイアントキリング) 夕陽に照らされた後藤の影が長く伸びていたから踏んでみた。 こら、なんて声がしたけど避ける気配が無いのでそのまま座り込んでみた。 達海?とさすがに訝しげな声が聞こえたけれど、無視して目を閉じる。 後藤の影の中は暑くって、全然涼しくなかった。 暑いよ後藤。 そう言うと、そりゃ夏だからな、なんて面白みの無い応えが返ってくる。 しかも何を勘違いしたのか、後藤はおぶってやろうかなんて言い出した。 それは魅力的だったけれど、クラブハウスの中にはきっとまだ有里たちが残ってる。 だからばーかって言って立ち上がった。 後藤の陰から出るのは少し、寂しい気がした。 *** きっとゴトさんはタッツの足の調子がよくないんじゃ、と内心でアワアワしてる。 02.おわりの夏 (持田×達海/ジャイアントキリング) その日、持田はひたすら眠っていた。 しかしコンコン、と扉をノックする音がして眠りを妨げられた。。 どうぞ、と気の無い返事を返すとしかし扉は開かず沈黙を守る。 気にせず横になっていると、またコンコン、とノックの音がした。 もう一度どうぞ、と弱冠苛立った声で返すとまた沈黙が返って来た。 何なんだ、と思っていると扉の向こうから声がした。 本当に入って良いの? 一気に目が覚めた。 一瞬ぞくりとしたものが背中を駆け下りていく。 本当に良いの? 声は問う。 けれど駄目だといえばお前は帰るのか? 答えはノーだ。俺は知っている。 入れよ。入って来い。 すると扉がゆっくりと開いて一人の男が入ってきた。 達海猛の姿をした男はにっこり笑って挨拶をした。 「こんにちは、『終わり』です」 そうして持田は現役を引退した。 暑い夏の日の事だった。 *** そろそろまともなモチタツというものが何なのか分からなくなってきた。(爆) 03.みえないもの (成田×達海/ジャイアントキリング) 好きという気持ちが目に見えれば良いのに。 まるで思春期の少女のようなことを、最近になって成田はよく思う。 人並みに恋愛もしてきたつもりだったけれど、そんなのは全く役に立たない。 そう痛感させられた。達海猛に関しては。 成さんが好き、と言ったその口で成さんなんて嫌い、と言う。 その上、後藤にしておけば良かった、なんて平気で言うものだから堪らない。 怒りに任せて勝手にしろと背を向ければ、ごめんね成さん、嘘だよと擦り寄ってくる癖に。 その身体に両腕を回せばするりと逃げていく。 本当にお前は俺の事が好きなのか? 成田は常に疑心暗鬼だった。 それでも達海は成田から離れようとはしないから、好きではあるのかもしれない。 けれどそれは明らかに成田が抱える想いとは比重が吊り合っていない様に思えた。 それでも今日も達海は言う。 成さん大好き。 ああ、好きという気持ちが目に見えれば良いのに。 *** 成さんは悶々としてれば良いよ。(*´ω`*) 04.夜明けの色 (後藤×達海/ジャイアントキリング) 達海はぬくもりに包まれて目が覚めた。 背後から抱きすくめられている。 誰の腕かなんて考えなくても分かる。後藤だ。 達海はそうっと腰に回った腕をどかし、身を起こす。 夜明けの色に染まった室内はまだ薄暗い。 今日、イングランドへ発つ。 最後にお前に逢っておきたかった、なんて。 少し弱気になってるかな、俺。 達海はそう思いながら傍らで眠る男を見下ろした。 後藤、じゃあな。 後藤の寝顔を瞳に焼き付けてから、そろりとベッドを抜け出す。 しかしその腕を捕らえられてびくりと肩を揺らした。 後藤が目を覚ましていた。 「何処へ行くんだ、達海」 ねえ、どうして目を覚ましてしまったの。 *** この頃の後藤って何処に住んでんですかね。寮? 05.プラネタリウム (村越×達海/ジャイアントキリング) あの人はまたいつものようにベランダに出ていた。 俺はもう気にすることも無く一人でニュースを見ている。 折角二人でいるのに、なんて思いは最初から持っていない。 あの人と甘い関係を築けるほど俺は器用じゃなかった。 すると村越、村越、とテレビの音に混じって呼ぶ声がした。 何だ、とベランダへ向かうとほら、といつかのように空を顎で示した。 「すっげえ星」 見上げてみると、雲ひとつ無い夜空に無数の星が散っていた。 この東京では珍しいくらいのその星空に一瞬言葉を失う。 「プラネタリウムみてえ」 プラネタリウムこそが夜空を模したものである以上、その喩えはどうかと思った。 しかしなかなか的を得ているような気がしたので黙っておいた。 「お前んちのベランダからは色んな景色が見えて良いなあ」 余りにも楽しそうに言うものだから。 だったら一緒に暮らしてくれませんか。だなんて。 言えもしない言葉が喉の奥で潰れて消えた。 *** 言った所でタッツはイヤだって言うよコッシー(はぁと)← |