「幸せになるなら、お前とがいい」 (ホーク×一歩/はじめの一歩) おやすみ おやすみ おやすみ よいこよ あなたはわたしのやくそくのばしょ わたしのむねで おねむりなさい おやすみ おやすみ おやすみ よいこよ あなたはわたしのやさしさのばしょ わたしのひざで おねむりなさい 『何の歌だ』 腕の中で声がして一歩は目を開けた。 「さあ…小さい頃、よく母さんが歌ってくれた歌なんですけど…何だか、思い出しちゃって」 そう言いながら一歩は身を起こした。 畳の跡が腕や背中についていて、ちくちくする。 それよりも、上半身の至る所の痛みの方が強かった。 『痛むか』 横たわったままの男の問いかけに、一歩は微笑む。 「大丈夫です。ただ、暫くはジムでウエア脱げないなって思って」 素肌を曝したその上半身は、無数の引っかき傷や噛み痕で埋めつくされていた。 まるで野犬に襲われたかのようなその有様。 しかし走で有り得ないことを示す、同じくらい多く散る、赤黒い鬱血痕。 痛いほどに吸われ、血が滲むほどに爪を、牙を立てられた。 肌本来の色を保っている箇所の方が少ないくらいではなかろうか。 それほどに、一歩の曝された上半身は傷だらけだった。 かすかに感じた肌寒さに一歩は辺りを見回す。 着ていた筈のシャツは既に衣類として成り立たず、ただ襤褸布として傍らで丸まっていた。 それに苦笑し、箪笥から新しいシャツを取り出そうと腰を浮かせると、それを引き止める手があった。 『何処へ行く』 「上着を取りに行くだけです。部屋からは出ません。大丈夫」 ふわり、と柔らかな金の髪を一撫でし、一歩は立ち上がった。 引き出しから適当なのを引っ張り出そうとして、圧し掛かった重みに一歩は「わ」と声を上げた。 ホークが背後から一歩に圧し掛かる様にして抱きすくめてきたのだ。 「ホークさん?」 『…悪かった』 『…いいえ、ボクも不用意ダッタ。だかラいいんでス』 動物が甘えるように顔を摺り寄せてくるホークに一歩は擽ったそうに首を竦め、笑う。 『…今度は、ちゃんと抱かせてくれ』 「は…………へ?」 あれ、今、翻訳の仕方間違えた? きょとんとして振り返ると、にっと彼は笑って一歩の半開きのままの唇に軽く口付けた。 『こういうコトさ』 ぐりっとジーパン越しに腰を臀部に押し当てられ、一歩は一気に顔を真っ赤に染めていく。 「ン?」 どうした?と言わんばかりのわざとらしいまでの表情。 「あう…」 からかわれてるからかわれてる絶対からかわれてる!! 「もう!ホークさんってばまたそういうコト言うんだから!」 ぺちん、とそのしなやかな筋肉の乗った腕を叩くと、彼は可笑しそうに笑った。 そして不意に一歩の耳元に唇を寄せて囁く。 『本気さ、子鹿ちゃん』 *** まだ二人はヤってませんよ。ええ。食われはしましたが。(爆) |