「…お前…俺の事、試したな?」
(歩夢、一歩/はじめの一歩)




小学一年生になる娘の髪を結うのも一歩の朝の日課の一つである。
しかし、髪を梳いてみて一歩は違和感を覚えた。
「あれ?」
頭皮がいつもより熱い気がする。
「あゆちゃん、お熱ある?」
後ろから額に手を当てると、やはり少し熱を帯びている。
だが、当の歩夢はいやいやをしてその手から逃れた。
「おねつないよ」
「でもほら、」
向き合って額同士をこつんと合わせる。
やはり少し熱い。
「やっぱりお熱がある。今日は学校お休みしてお医者さん行こうか」
「やっ、がっこういくの!」
「お医者さんが学校に行ってもいいよって行ったら帰りに送っていってあげるから」
「…おひるまでにまにあう?」
「お昼に何かあるの?」
すると歩夢は逡巡した後、小さく答えた。
「あのね、きょうのきゅうしょくでね、フルーツヨーグルトがでるの」
娘の応えに一歩はきょとんとしたが、やがて小さく笑って「そっか」と小さな頭を撫でた。
「じゃあ、お母さんがフルーツヨーグルト作ってあげる」
「ホント?」
「うん。みかんとパイナップルとリンゴとレーズンの入ったのでしょう?」
「うん!」
「じゃあ、お母さんのはそれに桃缶もいれちゃおうかな?」
「じゃあ、あゆ、おいしゃさんいく!」
「そう、じゃあお母さん、学校の先生に電話しておくね。滋郎くんを保育園に連れて行ったらお医者さん行こうね。それまで、お布団で大人しくしていられる?」
「うん、あゆ、おとなしくしてる」
そう、いいこだね、と優しく髪を撫で、一歩は子供部屋へと歩夢を誘った。







***
父親は新聞読む振りして聞き耳立ててればいいさ。(最近扱い酷くありません?)
給食のデザートといえば、チーズケーキが印象的なのですが。あのイチゴゼリーみたいなのと二層になったやつ…うちのへんだけなんでしょうか。

 

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