お子様キング




 今日も元気に放課後部活。
 とりあえず今は十分間の休憩中。
 各々好きな場所へ行き、体力回復に努めている。
 そんな中、ふとリョーマが立ち上った。
 自分の魅力に気付かないリョーマは、一同の視線を集めている事に気付かず手塚の元へ行く。
「男は子供産めないんですか?」
 一瞬、時間が止まった気がしたのは問われた手塚だけではないだろう。
「……産めないが…何を、突然……」


「だってオレ、手塚部長の子供欲しいし」


 リョーマの爆弾発言に、手塚は目を驚きに見開いたまま固まっている。
「ちょっと待ったリョーマ君」
 真っ先に割って入ったのは聞くまでも無く不二様。
「なんすか?」
「君と手塚ってそういう関係なの?」
 にこやかだが冷ややかな笑みを湛えた不二がそう問うと、リョーマはふるふると首を振った。
「違うっす。だから今こうやって言ってるじゃないっすか」
「つまり、君は今手塚に告白をしている、と?」
「っす」
 なんてムードの無い告白だ…!
 不二以外のメンバーは一様にそう思った。
 だが、リョーマを狙っていた面々(主にレギュラー陣+乾)はそれ所ではない。
 なぜ手塚!!一同は心中でそう叫んだ。
 毎日毎日ライバルを牽制しながらリョーマにアプローチして来たというのに、寄りによって無関心を装い、何も仕掛けてこなかった手塚に奪われるとは!!
 当の手塚といえば、彼自身、リョーマのハートをゲットしていたなどとは思いも寄らなかった様で、呆気に取られたような表情で不二とリョーマの会話を見上げている。
「………」
 そんな手塚の反応が気に入らなかったのか、リョーマは手塚の前に膝を付くと、そのままぎゅっと抱き着いた。
 途端、不二の背後で雷が落ち、握っていたラケットをもの凄い勢いで投げつける。
「だっ!!」
「え、エージ先輩!!」
「エージ!!」
 見事直撃した菊丸が乾いた地面へ沈み、近くに居た桃城と大石が慌てて介抱する。
「部長の鈍感」
 菊丸が死にかけていても、既にアウトオブ眼中のリョーマはそう言ってぎゅぅっと手塚を抱きしめる。
「越前……」
「気付かなかったんすか?オレだって部長の事好きだったんすよ?ずっと待ってたのに何も言って来ないし」
 むうっとむくれた声のリョーマの背に、手塚はそっと腕を廻すと優しく抱きしめた。
「俺で、良いのか?」
「手塚部長じゃなきゃヤだ」
 手塚の首筋から顔を上げ、速攻で返される迷いの無い声に、手塚はほんの微かに微笑むとその柔らかな頬に手を添えた。
「ありがとう、越前……」
 世界は二人のために、そんな言葉が過ぎりそうなふわふわラブラブムードに浸っている二人。

 そしてその頃不二がどうしていたかというと。
「ねえ、乾、例のペナル茶の事だけど……」
「ああ、手塚用に改良を加えたのがある。既に奴のボトルに仕込み済みだ」
 あの二人を引きはなそうにも今それをやるとリョーマに嫌われかねない。
 という事で、幸運にも我が校のアイドル、リョーマをゲットした手塚にささやかながらお祝いとして野菜汁の改良版である「乾特製野菜(?)汁」をプレゼントする事にしたらしい。
 さて、手塚の運命や如何に?!







(了)
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何これ最悪。寒っ!!何よアンタら!!赤リョが進まないからってつい書いてしまったんだが……書いて後悔しました、ええ。この話は単にリョーマの「だってオレ、手塚部長の子供欲しいし」発言が書きたかっただけです。なので初っ端から言わせてしまったのでもうオチが浮かばなくて指の赴くままに書いていたらこんな駄作になってしまいました…あかんがな自分……どうやらまだ脳が寝ているようなので先程から思考が纏まらない……もう何がしたい自分。そして飯を食いながら橘リョを思い付き、一人でにやついていた俺。お母様、申し訳御座いません。貴方の娘はもうお終いです。
そんなわけでサヨウナラ。(逃亡)
(2001/08/16/高槻桂)

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