Safaric Acid




その汚れ無き瞳
その蒼い瞳は前を見据え
その穢れ無き瞳
多くの仲間と歩む
その蒼の瞳

私が奪った
なのにこの紅の瞳

血の色に染まった蒼い瞳
お前にはなれぬと
私は自然からの生を受けたのではないのだと

それが罪だという様に
それが罰だという様に


幾千、幾万の夜明け
大地の暖かさ、冷たさ
海の優しさ、厳しさ
それに気付かぬまま暗き地下で
人々を操り
歴史を操り

幾千、幾万の夜明け
大地の暖かさ、冷たさ
海の優しさ、厳しさ
それを感じながら光の元で
人々と語り
歴史を感じ

それは、私とは正反対で……





「う……」
瞼を気だるげに上げると、まず目に写ったのは赤を基調とした天井。
(……どこ、ここ……)
セルジュはふかふかとしたベッドの上をごろごろと動き、未だはっきりとしていない意識を廻らせ、一番新しい記憶を呼びだす。
(え〜っと…レナと一緒にテルミナで買い物していて…)
レナとはぐれたかな?と思った途端、辺りが闇に包まれて意識が遠のいていったのだ。
「…………」
セルジュは辺りを見まわす。そこは何処かの宿なのだろうか。だが、例え宿だったとしても
それは自分たちが泊まるような安宿ではなく、見るからに高級と分かる造りだった。
(…何処かで見たような…)
豪奢なベッドから降り立ち、三つある扉の内の一番大きめな造りの扉へ向かい、ノブを回す。
「……………開かないし……………」
何回かがちゃがちゃと回した後、残りの二個所も同じようにノブを回してみる。
(一つは浴槽で……もう一つは………これも開かないや…)
諦めた様にひとつため息を吐いて再びベッドに戻り、腰を落とす。
「……みんな、心配しているんだろうな……」
「目覚めたのか」
「え?!」
突然背後からかかった声にセルジュは驚いて振り返る。
「!!ヤマネコ!!!」
自分と同じ姿をした、それでいて邪悪さを纏わりつかせている少年を睨み付けるとその紅い瞳をした少年はやれやれといった風に首を竦める。
「フェイト」
「何?」
「それが私の名」

ヴォンッ

「わぁ?!」
突然目の前に実体を持たない巨大な黒猫が現れたかと思うと、次の瞬間にはセルジュと全く同じ姿になりセルジュを羽交い締めにする。
「くっ…!!」
フェイトはセルジュに近寄ると、じっとその瞳を覗き込む。

「…セルジュ、お前の瞳は蒼いのだな」

「な、何を…!!」
フェイトはその蒼の瞳を隠すように手で覆うと、何かを唱える。
「な、に…」
セルジュは突然真っ暗闇に覆われた視界に途惑いながらフェイトの気配を探る。
「ぁ?!」
ビッと嫌な音を立てたと思うと、素肌が外気に晒されるのが分かる。服を力任せに破られたのだ。
「な?!やめ…っ…」
胸の突起を摘ままれ、指の腹で押し潰され、セルジュは束縛から逃れようと足掻く。だがそれは無駄に終り、そうしている内にもどんどん服は脱がされていき、全て取り払われてしまう。
「ひゃ、あ?!」
首筋に生暖かくて濡れたものが這うのが分かる。それはゆっくりとセルジュの首筋を這っていき、所々で吸われているのか、ちくりとした痛みが走る。
そしてさわりと下肢を撫で上げられ、びくりと萎縮する。やがてやんわりと中心を刺激され始め、セルジュは膝ががくがくしてくるのを感じた。
「あ…やめ、は……」
束縛から、その手から、逃れようとも適わなくなすがままにされるしかない自分の非力さにセルジュは唇を噛む。
「ん……ふっ……」
「感じているのだろう?」
固く勃ち上がってきたそれに指は更に刺激を与え、その先端からはとろとろと先走りの液が溢れ始めている。
「クク……ホラ、お前のココはもっと刺激が欲しいとねだっているぞ」
「や…言、うな……」
わざと煽るように耳元で囁くフェイト。その囁きだけでもセルジュは背筋がゾクゾクして身を捩る。
「…カゲネコ」
「え……い、いやだ…!!」
カゲネコが背後でカタチを変化させたと思うと、羽交い締めされたまま両脚を高く持ち上げられ、目の前にいるだろうフェイトに全てを晒す格好になってセルジュは半ば泣き声になる。
「そうだ、そうやって羞恥に足掻くがいい」
「ひゃ、あぅ……っ!」
つぷりと後部に指を突きたてられ、セルジュは闇に覆われている瞳を見開いた。
ぐっと奥まで差し入れられ、息が詰まりそうになる。
「…やはりキツイな」
そう言いながらフェイトは一旦指を入り口付近まで戻すと、今度はそこを解すように指を曲げ伸ばししはじめる。
「う、ぅうぁ……っ」
ぐちぐちと指と中襞の擦れ合う音がセルジュの耳に届き、その卑猥な音から逃れようと首を左右に振る。
「い、や…ぁ……だ……」
「なら、止めてやる」
フェイトは指をあっさりと引き抜くと、咽喉の奥でクスクスと笑う。
「後悔するのはお前だからな」
そして指の何倍もの質量のある、熱を帯びたそれを先程まで弄っていたそこへ宛がい、一気に押し入った。
「ひ、あ、ああああ!!!」
痛みからセルジュの身体ががくがくと痙攣し、その口からは止めど無い悲鳴が上がる。
「く、ぅあああああ!!」
自然と涙は溢れ出し、貫かれたそこが焼けるような痛みに全身を引き攣らせる。
「ほうら、やはり切れただろう?」
フェイトは繋がったそこに指を走らせ、その血が滴る指でセルジュの頬を撫でる。
「お前も血に染まってしまえ」
セルジュには見えなかったが、その時のフェイトは歓喜と嫉妬の入り交じった表情をしていた。
そして再び目元に手を当て、かけていた魔法を解いてやる。

そう、その瞳だ。

闇の解かれたその瞳はギッとフェイトを睨み付けてくる。

この、蒼の瞳。

「僕、は…っあんた、を…はぁ、っ絶、対に…ゆる、さない!!」
セルジュはその蒼の瞳にありったけの憎しみと侮蔑を込めてフェイトを睨み付けてくる。
フェイトはその視線を受け止め、口元を歪ませる。
そして更に奥へと腰を進め、その内壁を思う様乱暴に掻き乱す。
「…っ…」
フェイトがその叩き付ける様にその一番深い所に熱を放った瞬間、セルジュはとうとうその意識を手放した。
「…………」
動かなくなったセルジュの中からずるりと自身を抜くと、カゲネコにセルジュを解放して去るように指示する。
カゲネコが消えるとフェイトはその場で自分の身に付けている衣服を脱ぎ、セルジュを抱えて浴室へと向かった。


気を失ったままのセルジュを洗ってやり、フェイトはセルジュをまるで人形の様に抱きかかえたまま湯に浸かる。
その姿は、まるでお気に入りの玩具を誰にも渡そうとしない子供のそれだった。
フェイトはそんな自分に気付き、笑う。
自分を嘲るような、低い笑い声。
(だが、手放すつもりはさらさら無い)
もう、仲間の元へは返さない。
ずっと、ここに閉じ込めておく。
お前が欲しかった。

今は閉じられているその蒼い瞳を思い出し、その瞼をそっと撫でる。

嫉妬していたのかもしれない。
私は、この少年に。
完璧だと思っていたのに、自分と正反対であるこの少年は完璧という言葉の虚しさをその瞳にありありと映し出していた。
(だが、もういい)
お前を手にいれた
お前を手にいれた
お前を手にいれた
セルジュ、お前に教えてやろう。
この永い時の中で私が何を思い、何を感じていたのかを……
この世界が終る…その時にでも…
その時まで私の名を呼べ
私の名を想え
幾度となく
その澄んだ瞳を憎しみに滾らせ
幾度となく
その澄んだ瞳を殺意に彩らせ

私を想え





(了)

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実はここ、蛇骨館の客間です(爆)そしてこの話はただ単にフェイトはんがセルはんに嫉妬してるだけの話です。この話の元ネタは俺がDセルを見た時の事。攻略本を読んでいた時に目の色違う事に気付いたのだが、如何せん、ただでさえ気に入らない展開(キッドとDセルが一緒に行動している&ツクヨミがいなくなった事)でいらついていた時だったので、「何でセー公の身体まんま奪っといて目ェ赤いねん!!!」とコントローラーを投げ出してしまったという思い出が…(死)
それでは、あるか。様、1000HITありがとうございました。
…実は、1000HITという事でちょっとした小細工がしてありますが……さて、なんだろうね……ま、どうでもいい事だから、ね?あっは〜(誤魔化し)
(2000/06/10/高槻桂)


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