Baroque
基本的にテニスにはもう余り興味は無い。 のだが、山吹と青学が当たるかもしれないのなら、これは行くしかないでしょう。 珍しく亜久津もやる気になってるみたいだし。 ということで、やってきました都大会後半戦。 といっても途中からだけどね。 さてさて、亜久津はどこにいるのやら。 確かこっちで不動峰と試合してるって聞いたんだけど。 …ってあれ?亜久津がベンチでめっさだらけてんだけど。 っておわっ?!突然笑い出したよあくっちゃん!え、なになに?あ、あそこに居るの不動峰のヤツラか。早速喧嘩売ってんのかよ亜久津のヤツ。 「やめろ、神尾!」 「だってよう、橘さん!!」 お、大仏が鬼太郎ヘアーを止めちった。残念あくっちゃーん。 うお、そして行く先には青学ども…あれ?貞治いねーじゃん。早速偵察か? 仕方ない、亜久津が喧嘩しかける前に止めますか。 「あくっちゃん」 背後から声をかけると、あ?とか言いながら亜久津が振り返った。 「んだよ、来たのか」 「おうよ。あくっちゃんが青学ぶちのめしてくれるっつーから張り切って来ちゃったよ」 ちらり、と青学メンバーを見れば、案の定、殆どから敵意を持った目で見られた。 「あらあら、噂をすれば青学の皆さんじゃありませんか!あれ、もしかして今の聞こえた?ごめんあそばせー」 けらけら笑いながら言うと、ぽそりと誰かが呟いた。 「…似てるのは見た目だけっスね」 「だな」 かちーん。あ、ムカついた。何かムカついた。 つかつかと青学メンバーに近づき、止める間もなく例のちびこい子の胸倉を掴んで思いっきり吊り上げた。 「あ?お前か?今ちょー失礼なこと抜かしたの」 「ちゃん、ダメだよ!」 宙ぶらりんになったちびこいのを河村君が救助してしまった。ちっ。 「おい、行くぞ」 亜久津の声に何だよ、と振り返る。 「そいつは俺の獲物だ。手ぇ出すな」 私が舌打ちして青学メンバーに背を向けると、ちびこいのを背に庇っていた河村君があからさまにほっとした安堵の息を吐いていた。 「次同じこと抜かしたら腕へし折るぜ」 あームカツク。 「あ!ちゃんじゃーん!」 来てくれたんだね!と駆け寄ってくるのは千石清純。 抱きつこうと腕を広げて飛び込んできたオレンジ頭をひょいと避ける。いつものことだ。 「うーん、相変わらずガード固いなあ」 「ははん、キヨにゃ俺の鉄壁は崩せねえよ。それより、決勝進出、おめでとう」 「ありがとう!いやー不動産には悪いけどラッキーだったよ。決勝もこの調子でさくっと行きたいね」 「それはどうかなー?」 ちょっと意地悪く言ってみると、じゃあさ、とキヨがにんまりと笑った。 「ちゃんが頑張ってのちゅーしてくれたら俺、手塚君にだって勝ってみせるよ」 ほほう。 「よーしわかった。キスしてやるからちょっと黙って目ぇ瞑れ」 「ちょっ、ちゃん、手ぇばきばき鳴らしながら言われてもっ!絶対違うでしょ、キスじゃないでしょ?!」 「ちっ」 「ちゃんが苛めたー!亜久津、助けてー…ってアレ?」 キヨが辺りを見回し、私も同じく見回した。あれ?亜久津、どこ行ったんだろ。 気付いた時にはもう、私の傍らは空っぽだった。 *** ついでにお題も消化してみた。 |