ミラがル・ロンドで医療ジンテクスによって再び歩けるようになって一旬。
一日のリハビリを終えたミラは、ジュードによって温泉が近くにある事を知らされた。
「ボルテア森道を北東に進んだところにね、小さいけどお湯が湧き出る泉があるんだ。あの辺りは魔物もほとんど入って来ないし、穴場スポットなんだよ」
ただそこに至るまでの森道が魔物だらけなので誰も近寄らないらしい。
「ミラは温泉に入った事ってある?」
「いや、無い。社から出ること自体が殆どなかったからな」
興味津々という様に目を輝かせるミラに、じゃあリハビリが一段落したら行ってみる?とジュードは笑う。
「うむ、楽しみだ」
そんな話をしたのが一旬前。その日、ジュードはミラと共にボルテア森道を歩いていた。
「ねえ、本当に大丈夫なの?」
心配そうなジュードの問いに、うむ、とミラはどこか上機嫌に頷く。
「ディラックも順調だと言っていたし、温泉に浸かって湯治というものを経験しておくのも良いだろう」
「一度入るだけじゃ湯治とは言わないと思うんだけど……」
「だが温泉に入ると肌がすべすべになるのだろう?楽しみだ」
ミラの気持ちはもう温泉に奪われており、これは言っても無駄だな、とジュードは諦めた。
そして森の奥にその泉はあった。おお、とミラが感嘆の声を上げる。
静かな森の中でこんこんと湯が沸きだし、泉を満たしている。
「ここは向こうの湖からの水が流れ込んでいて、入るにはちょうどいい温度だと思うよ」
ジュードが湯に手を浸し、うん、と頷いてミラを見る。
「丁度良いかな。最初はちょっと熱いかもしれないけど、慣れちゃえば気持ちいいよ」
「そうか!ならばさっそく入ろう!」
「あ、待って、念の為ホーリィボトルを周りに撒くから」
「そうだな。ジュードは気が利くな」
ミラの言葉にジュードは照れ臭そうに笑って瓶の蓋を空けた。
二人で手分けして撒き、これでいいかな、とジュードが振り返ると既にミラが脱いでいた。
「ちょ、ミラ!」
慌てて後ろを向き、あれ、と思う。ちょっと待て、今何か見えなかったか。
「あの……さ、ミラって……女の人、だよ、ね?」
きっと見間違いに違いない、と思いながら背後に問えば、まあそうだな、とミラが返してきた。
「どちらかと言えば女性体に近いな」
「ち、近いって……」
「私には女性器も男性器もついているからな」
見間違いじゃなかった。ジュードは何故かその場に崩れ落ちたい気分になる。
「精霊の主って両性体なんだね……」
「うむ、面白いだろう?」
そう言いながらも背後でちゃぽんと湯に浸かる音がする。
「おお、確かにこれは少し熱い気もするが……いや、うむ、浸かってしまえばちょうど良いな」
ジュードも早く入れ、と言われ、ジュードは背を向けたまま僕は良いよ、と返した。
「二人とも無防備になったら万が一の時に困るからね」
しかしミラは大丈夫だろう、とジュードを誘う。
「小道に入ってからは魔物も全く見なかったし、こうしてホーリィボトルも撒いたのだし」
「で、でも……」
「ジュードは私と一緒に入るのが嫌なのか?」
「そ、そんな事無いよ!」
即答したジュードに、ミラがくすりと笑う気配がして、では共に入ろうと更に誘ってくる。
「……少しだけ、だよ?」
「ああ、少しだけ、な?」
恥ずかしいと思いながらも岩陰で服を脱ぎ、お邪魔します、とミラの方を見ないようにしてその隣にそっと入り込む。
少し熱めの湯が気持ちいい。だが楽しむどころではない。心臓がばくばくと音を立て、ミラに聞こえてしまうのではとすら思う。
すると不意にミラがジュードの腕に触れてきてジュードは飛び上がらんばかりに驚いた。
「な、なに、どうしたのミラ」
「いや、君の肌は白くて綺麗だと思ってな」
「ミ、ミラだって十分白くて綺麗だと思うけど……」
「いや、この滑らかさに肌理の細かさ。君には負ける」
ミラは遠慮なくべたべたとジュードの体を触り、太腿にも手を伸ばす。
「ちょ、ミラ!」
「引き締まっていて余計な肉など全く無いという感じだな」
撫でられる感触に、耐えきれずにその手を引きはがした。
「もう、駄目だってば!」
「何故だ?裸の付き合いというものはこういう事ではないのか?」
きょとんとしていたミラがふと視線を落とし、首を傾げた。
「ジュード、何故勃起しているのだ?」
「え、わ、ちょ、見ないでよっ」
知らぬ間に勃たせてしまっていたジュードは、顔を真っ赤にしながら慌てて脚を引き寄せて小さくなる。
「もしや私の裸体に興奮したのか?」
「そ、それもあるけど、ミラが触るから……」
ミラはふむ、と考え込んでいたが、やがてわかった、任せろと頷いてジュードに身を寄せてきた。
「ちょ、ミラ!」
腕にミラの豊満な胸が当たってジュードは慌てる。
「射精すればそれは収まるのだろう?見てみたい」
「ミ、ミラだってついてるじゃないか!」
「私は今までそんな風になった事が無いからな」
縮こまっているジュードの脚を無理矢理開かせ、その中心で緩やかに勃ち上がっているそれをまじまじと見下ろしたミラはそこに手を伸ばし、指を絡めた。
「あっ」
びくんと反応したジュードに、こうすると気持ちが良いのだと本に書いてあった、とミラは言う。
「ミ、ミラって、あっ、どんな本、読んでる、のっ……!」
湯の中で上下する手が齎してくる快感に震えながら問えば、イバルが様々な本を差し入れてくれるのだ、と手元を見詰めながらミラが答える。
イバル、どういう事なの。ジュードは喘ぎながらミラの巫子であるイバルの趣味を疑った。
「……可愛いな、ジュードは」
「ミ、んっ」
ふっとミラの顔が近づいて口付けられる。ミラと、キスしてる。驚いている内に舌が入り込んできてジュードの舌を絡め取った。
「ん、ふ……ぁ……ミラ……」
唾液で濡れた唇を舐められ、気持ち良いか、と問われて羞恥に頬を染めながらも頷く。
「ジュード、こちらも触っても良いか?」
ジュードの熱を扱いていた手が滑り、ジュードの奥まった場所を撫でたのでジュードはひゃっと声を上げた。
「ど、何処触って……」
「男はこの中に前立腺があって、そこを擦ると気持ちが良いのだと書いてあった」
私はジュードが乱れる姿がもっと見たい。そうねだられ、でも、とジュードは戸惑いの視線をミラに向ける。
「大丈夫だ、痛いようならすぐに止める」
ジュード、とミラが囁いてジュードの耳朶を食む。それにぞくりと背筋を震わせながらジュードはこくりと頷いた。
「ありがとう、ジュード。では少し体勢を変えよう。手をこちらについて……そう、そうだ」
言われるがままにジュードは立ち上がり、岩に手をついてミラに向かって尻を突きだすような格好を取った。
「ミラ、恥ずかしいよ……」
「大丈夫だ、私たちしかいない」
ミラの指がジュードのそこを滑り、つぷりと押し込まれていく。
強い違和感を感じたが、根元まで受け入れるとジュードは感じた事のない感覚にじわじわと浸食されていくような感覚に満たされた。
「痛くはないか」
「大丈夫……」
するとミラの指が中を探る様に動き回り、ある一点を擦った瞬間ジュードはびくりと震えた。
「あっ」
「ふむ、このしこりのようなものがそうらしいな」
「あっ、やっ、ミラ、そんなに強く……!」
ぐりぐりと無遠慮に擦るミラに、ジュードはびくびくと震えながら岩肌に顔を伏せた。
「ああ、すまない。だが気持ちいのだろう?」
ミラの指が抜き差しされ、その度に指の腹がそこを擦ってジュードは甘い声を上げる。
「気持ち、良いけど、こんなのって……あっ、ミラ、指……!」
圧迫感が増し、ジュードは背後のミラを振り返る。ミラは実に楽しそうだった。
「柔らかくなってきたからもう一本入りそうだと思ってな」
振り返った先で、ジュードはミラもまたその熱を昂ぶらせている事に気付いた。
「ミラ、勃ってる……」
すると初めてそれに気付いた様におお、とミラが己のそれを見下ろした。
「道理でさっきから気持ち良い様なもどかしい様な感覚がしていると思ったら。これが勃起か」
「あっ、んっ、弄りながら、感動、しないでよっ……!」
ミラはそんなジュードにお構いなしにそうだ、とジュードを見る。
「このままセックスしてみないか?」
「え、待って、それってミラが僕に挿れるって事?」
「ああ、私は君を抱きたい」
良い笑顔で言われ、ジュードはがくりと肩を落とす。
「駄目か?」
「……もう、仕方ないんだから」
それを了承と取ったミラが指を引き抜き、ジュードの腰を掴むとひくつくそこに熱を押し当てる。
「んっ……」
「力を抜いていろ、ジュード」
ぐっと熱でそこを押される感覚がして、ゆっくりとそれが入り込んでくる。
「あ、あっ、ああっ」
痛みと共に強い圧迫感を感じ、ジュードは必死に力を抜いてそれを受け入れようと努めた。
ずぬんと太い部分が入り込んだ感覚があって、ゆっくりと身を裂く様にしてそれは入り込んでくる。
「ああ……ジュードの中は熱くて気持ちが良いな……」
うっとりとして言うミラに、ジュードは胸がときめくのを感じた。
「動いても良いか、ジュード」
「ん……最初はゆっくり、ね?」
「ああ」
ミラは言われたとおりにゆっくりと腰を動かし始める。引き抜かれては奥を突かれる。
ただそれだけの動きなのに、痛みの中に快感が滲みだしてきている事にジュードは気付いた。
「んっ、あっ、あっ、んっ」
徐々に早くなっていくその動きを、ジュードは岩肌にしがみ付きながら受け入れる。
「ああ、ジュード、ジュード……!」
「あっ、あっ、ミラ、あっ」
その動きが一層激しくなったと思うと、背後でミラが短く喘いで体の奥に熱が注がれるのを感じた。ミラが達したのだ。
「ふう……すまないジュード、我慢が出来なかった」
背中にちゅっちゅとリップ音を立てて口付けてくるミラに、大丈夫、とジュードは微笑む。
「んっ……」
体内のそれが引き抜かれる感覚にぞくりとしながら、ジュードは内股をミラの放ったものが伝い落ちていくのを感じた。
「だが君がまだ射精に至っていないだろう」
「ぼ、僕は良いから……」
放っておけば治まるし、と言うジュードに、ミラはそうだ、と表情を輝かせて言った。
「今度は君が私に挿入するといい」
「え……ええ?」
ミラは自分の方に向き直ったジュードの手を取ると、ここに、と自らの肉襞へと誘った。
「君の性器を挿れて欲しい」
「でも……」
初めて触れたそこは既に強いぬめりを帯びている。その柔らかな肉の感触にジュードはこくりと喉を鳴らした。
「私が君をここに受け入れたいのだ」
「う、うん……」
恐る恐るそこに指を滑らせると、ん、とミラが喉を鳴らした。
「ミラ、凄い濡れてる……」
「あ、あ……感じると、こうなる、のだろう……?」
「指、挿れても良い……?」
「ああ……あっ」
ぬめったそこは易々とジュードの指を飲み込んだ。後から後から滲む蜜に指を絡め、ジュードはその肉壺を指で弄る。
「あっ、んっ……不思議な、感覚だ……声が出て、しま、あっ……」
「ミラ、僕、もう……!」
ミラの肉壺を弄って興奮したのだろう、ジュードが震える声を漏らすとミラはふふっと笑っていいぞ、と先程ジュードがしていた様に岩肌に手をついて尻を突きだした。
「来い、ジュード」
「ミラ……!」
ジュードは手でその肉襞を開き、熱を押し当てる。蜜の溢れるそこはぬぷんと簡単にジュードを受け入れた。
「あっ」
「あんっ」
それぞれに喘ぎ、ジュードは強い射精感を堪えつつゆっくりと動き始める。
腰から全身へと響くその快感に、ジュードは夢中で腰を振った。ぱしゃぱしゃと湯が音を立てては跳ねる。
「あっ、あっ、ミラ、ミラッ」
「あっ、ジュード、もっと、もっと強く……ん、んんっ!」
言われるがままに強く奥を抉ると、ミラが甲高い声を上げて震えた。
「うあっ……」
ひくんひくんと痙攣するその肉壺の動きにジュードもまた声を上げて達する。
「あ、あ……」
腰を押し付けてその熱を注ぎ込み、ずるりと引き抜くと中で放った白濁としたそれがぱたた、と湯に落ちた。

 


「良い湯だったな、ジュード!肌もすべすべだ!」
来る時以上の上機嫌でそう言うミラに、ジュードは気恥ずかしい思いをしながら頷く。
「そ、そうだね……」
「温泉もセックスも気持ちが良いものだな」
「ミ、ミラ、あまりそういう事は口にしない方が……」
「うん?そうなのか」
首を傾げていたミラはそうか、と手を叩く。
「恥じらいというものだな!」
「えっと……そう、だね」
ミラはにこにことしながら、ではこれは君と私の秘密だな、と言った。
「う、うん……」
顔を赤くして俯くジュードに、ミラが笑う。
「またしよう、ジュード」
「え!」
「嫌なのか?」
きょとんとしているミラに、そうじゃないけど、ともじもじとしながらジュードはミラを見た。
「僕で、いいの?」
「ジュードが良いのだ」
ミラの言葉に、ジュードは恥じらいの中で嬉しそうに笑い、うん、と頷いた。

 


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