「げっ!!」
カーシュは思い切り顔を顰めました。彼の視線の先には猫がいます。
いえ、猫は猫でもカーシュより背が高く、真っ黒の服を着てしっかりと二足歩行をしています。
おっきな猫はカーシュの「げっ!!」の声に反応してこちらを振り返ります。
「さてと」
カーシュは視線を泳がせながら回れ右をすると足早に来た道を戻って行きます。
「うわった〜・・・ヤマネコじゃん」
逃げるように(というか完全に逃げているんですが)スタスタと戻って行くと、すぐ後ろで声がしました。
「私がどうかしたのか?」
「?!!」
驚愕という言葉がこれほど似合う態度も無いだろうというほどカーシュはびくうっとして後ろを振り向きました。
「ヤ、ヤマネ・・・!!」
カーシュが酸欠にでもなったのかというくらい口をぱくぱくさせて何かを訴えています。間抜けです。
ヤマネコ様はその名、見た目通り猫なので気配を消して近付く事など造作もありません。カーシュはばくばくしている心臓を宥めるように深呼吸して言葉を発しました。

 

「てめえヤマネコ!驚かせんじゃねえよ!!」

「何か俺に御用でしょうか?」

 

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